中体連は勉強しない子どもを増やしたいのか
参考書もサブスクの時代
CNETに『スタディプラス、電子参考書サブスク「ポルト」公開--月額980円で出版12社が読み放題』という記事が上がっていました。学習管理アプリ「Studyplus」や、教育事業者向けの学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」を提供するスタディプラスは9月18日、日本初(同社調べ)となる大学受験生向け電子参考書のサブスクリプションサービス「ポルト」を9月17日に公開したと発表した。料金は月額980円。
東京都教育委員会が2019年6月20日に、大雑把にいえば都立学校でのスマートフォン持ち込みを容認するという内容に「学校教育における情報通信端末の取扱い」を変更しました。平成21年に出した、特別支援校を除いて一律に持ち込みを禁止するという通知を廃止して、新たな指針として定めたということなので、校長判断に委ねるとはいうものの、持ち込みを認める方向へ誘導していると捉えて問題ないと思います。
これはまだ都立学校に限っての話で、区市町村立学校においては各教育委員会が判断することになっていますから、東京全体としてどうなっていくかは分かりませんが、競争の激しい東京都の学校で、教育に有用であると判断されれば一気に全校で持ち込みOKとなる日もやってくることでしょう。
そうした流れを受けて、早速高校生向けの新サービスが登場したわけです。参考書のサブスク。月額980円なら、子どものために契約する保護者も多いと思います。少なくとも私は使わせたい。うちの子は一番上が中学生ですからまだ先の話ですし、地方在住ですから東京都の話とは全然関係ないのですが、サービスが使えないわけじゃありません。どの参考書が自分に合うかって、じっくり見てみないと分からない。毎月980円払っておけば、普段使いの参考書では理解できない部分を、他の参考書を開いてみて補充学習することができます。これをリアルな本でやろうと思ったら、本屋へ行く時間も必要ですし、本棚も必要です。無理でしょ。
中学・小学は当分持ち込み禁止のままになりそう
ところで、一つ下の世代になる中学校、さらにその下の小学校の現状はというと、原則持ち込み禁止です。そして今後も維持されそうです。教育新聞で『携帯電話持ち込み禁止「維持を」 全連小と全日中が表明』と報じられていました。学校への携帯電話持ち込みの是非を検討している文科省は7月24日、有識者会議の第4回会合を同省で開き、全国連合小学校長会(全連小)、全日本中学校長会(全日中)、全国高等学校長協会(全高長)からヒアリングした。全連小と全日中の代表者は「現状では課題が多い」などとして、同省が2009年に通知した原則禁止措置を維持すべきとの見解を表明。保護者が携帯電話の持ち込みを求める場合には、例外措置として個別対応することが望ましい、とした。
記事中盤で理由として列挙されている内容には同意する部分もありますが、いくつかの点についてはスマホの機能制限を活用すれば回避できます。我が家の小学生は校長先生の許可を受けてスマホを持たせていますが、ほとんど何もできない状態にしてあります。古いiPhoneを持たせていますが、標準機能でかなりの制限がかけられます。ブラウザはホーム画面から消えています。アカウント設定も自分では一切いじれません。アプリのインストールは私か妻のiPhoneに承認を求める通知が届いて、OKされなければ実行出来ません。当然SNSは使えません。ですからトラブルに巻き込まれることもありません。
現状ではスマホの持ち込みが例外事項なので、子どもたちには登下校時には一切取り出すなと言い聞かせてあり、頑なに守ってくれています。他の子が当たり前のように取り出して保護者へ電話をしていても、真似することはありません。親子での取り決めがしっかり出来ていれば子どもはちゃんと守ってくれます。
そこまでして子どもにスマホを持たせるのは、位置情報を把握するためです。登下校中、特に下校時は危険が伴います。田舎ですから民家が一軒もない区間もあります。時には一人っきりでそこを歩いてくることもあります。位置情報が分かるからといって危険から救えるわけではありませんが、通学路から外れれば何かが発生したと判断して行動を起こすことができます。
小学生については、学校の学習でスマホを活用、とまで行くとまだまだ所有率も先生の対応もとてもじゃないけど追いつかないでしょうが、中学生については休憩時間にスマホで補充学習する機会ぐらい与えてくれても良さそうに思います。
大会・試合の合間も勉強の機会と捉えてほしい
ここまで引っ張って、ようやくタイトルの話題です。中体連。公益財団法人日本中学校体育連盟ですね。中体連のルールとして、スマホを大会に持ってこいない、というのがあるようです。お菓子やゲーム機、漫画とともに、スマホが挙げられているんです。学校から大会があるたびにその一言が添えられています。つまりは、余分なものは持ってくるな、ということなのですが、この状況下でスマホは余分なものなのかどうか、ということです。顧問にもよるでしょうが、宿題は持っていってもいいようです。土日が大会になると週末の宿題をこなす時間がなくなってしまうので、宿題OKの対応には感謝しています。
でも、さらに追加で学習をしたい子もいるわけですよ。高校生向けですが、隙間時間にミニテスト感覚で取り組めんで学力向上を図るアプリも存在しています。大会中の隙間時間にもってこいじゃないですか。中学生がスマホを使う時間が増えるとなれば、冒頭の「ポルト」のように、新しいサービスが登場することだって期待できます。
ただでさえ都市部の子どもの方が教育環境に恵まれているんです。地方は先取りして学習効率の良いやり方を追求しなくちゃならない。それなのに全国欣一で大会にスマホ持ち込み禁止、なんてものを受け入れている場合じゃないんです。ゲームやSNSに興じるのが心配だとしても、機能制限を使えば抑制できます。そもそも学習意欲の高い子は与えられた機会をちゃんと使いますし、低い子はスマホがなくたって勉強以外のことをして過ごします。
学習意欲の低い子のことを気にかけるなというわけてばなく、私が問題だと考えるのは、学習意欲の高い子がさらに学習しようとする機会を奪っていることです。これはとってももったいない。現状でやれることって、英単語帳で暗記をするとかでしょう。スマホが学色々夢が膨らむんです。
それなのに、なぜかスマホが「余分なもの」になっているせいで全然話が進みません。悔しい。「余分なもの」として使っているのって、大人の方じゃないですか?スマホの機能を理解している人がアドバイスしているのかとても心配です。
問題があるとすれば、保護者が機能制限を使いこなせない、という点ですね。この問題については私も深刻に捉えています。学校側からこの点を指摘されたらなかなか反論できません。全保護者を集めて講習会を開くぐらいは協力できますが、それだけで学校が納得できるだけの成果が上がるかどうか心配です。
子どもに持たせる以上は保護者もある程度使いこなせないとならないわけですが、現実はそんな簡単にはいきません。位置情報と機能制限をリンクさせて、学校に入ると学校側の設定した制限が自動適用されるとか、大会会場では勝手にこの設定になる、とか。そんな仕組みができたら良いですね。それなら学校側も安心なんじゃないでしょうか。
位置情報については、最新のiPhoneではiPhoneを向けている方向に誰のiPhoneがあるか分かるといほどに精度が高まったようですので、近い将来、誤動作もあまり気にしなくてよくなりそうです。(今は最新のiPhoneだけですが、そのうちにAndroid陣営も何かしら対抗するでしょう)
技術はどんどん進歩しています。学校側のスマホに対する捉え方も、季節に一度くらいは見直しをする機会を設けないと、子どもたちの大事な時間を奪ってしまうことになりかねません。子どもたちのために使えるものはなんでも使う。問題は走りながら対処する。保護者もその方針で協力する(問題が発生しても安易に学校を責めず解決に協力する)。それぐらいの考えでいないと日本人の学力はこれ以上高まらず、世界での評価はだんだん下がっていくと思います。
もちろん、スマホ以外のこともね。
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